で、演奏ですが、ま、正直言っちゃって、すんばらしいわ。演奏はもちろんなんだけどさ、やっぱ、これは作曲家の勝利だよね。
だってさ、終楽章なんか「死に絶えるように」と譜面に注釈があるように、ほんとに死に絶えちゃうような終わり方。エンディングに向かって(こうは言わないよな、普通)いくと、音を奏でるのはヴァイオリンとヴィオラだけになっちゃうのよ。それも p がいくつも付いちゃうような弱音で。ホントの最後の最後はヴィオラが弱弱しく四つの音を伸ばして伸ばして、んでもって、「死に絶えるように消え行く」。そして拍手も起こらない。起きる訳がない。聴く者が全員、小澤の右手が静かに降り切るのを見ているし、そうしているとぐぐぐぐぐと引きずり込まれて、こっちも土の中に埋もれてしまって、あとは静かに息を飲むしかないっしょ。